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静岡県静岡市清水区谷津町 興津川製紙工場と桜並木の彼方

僕は以前興津は海も山もある町だと言ったが、もう一つ忘れてはならないものがある。
それが興津川だ。
山中を流れるアユ漁ができるほどの清流はこの地には欠かせない。ここで話すと長くなるからしないがね、歴史的観点から見てもそうだったのだよ。

さて、かような興津川の淵にはかなり大規模な工場跡が位置している。
どれぐらい大規模かと言えばすぐ横を走る東海道新幹線の車内からでも確認できるほどだ。
そのため撮った写真数は85枚にも及ぶ。
しかしこれでも、これでもまだ十分に撮ったとは言えないのだ。「地球釜」と呼ばれる施設を初めとした工場の心臓、主要部分を撮影はしていなかった。何故なら、さほど再訪に手間がかかるような場所ではないし、外周を廻るだけでも十分に満足してしまったからだ。
兎に角それほどまでに見どころが多い。

そして、その真横には桜並木が立ち並ぶ遊歩道がある。
4月上旬に行ったことに対してはこれと言った理由もないし、コドモでいられるモラトリアムを偶然により授かった故来たということに過ぎないが、この時期にきて素直によかったと思えた。

寂寞の中に鎮座するその工場の名は興津川製紙。
過ぎ去ってしまった想いの残響に遡行する。僕は「廃墟を視る」というその行為を改めて噛み締めながら、脳裏に焼き付け、オートマタのように記録し――収めた。ここに紹介するのはその一部だ。


興津駅からものの2,30分山の方へ歩くと、当該物件へ辿り着くのだが、道中にはこんなものがあった。
現存するものでは日本最古の丸ポストだ。
そもそも丸ポスト自体が減少傾向にあり、今となってはそう簡単にお目にかかれないものであるけれど、興津地区では比較的よく見かけるよ。

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本題に入ろうか。まず目に入ったのは風化した屋根と、錆びの浮いたワーレントラス橋のような工場設備。生憎この手のものは詳しくはないので何をするものなのか解らなかった。

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工場内部はところどころ屋根が抜けていた。訊く所によると床が抜けている部分もあるそうだよ。

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元の赤い塗料か、はたまた錆なのか解らないが、弁柄のような色をしている。
向かって左側の建物には中央に植物が居座っていて、工場というよりは植物園のようだった。

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事務所も廃墟となっていた。
中には残留物がまばらにある。

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巨大なタイヤのような、謎の黒いゴム。

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同じ車種の廃車が2台並んでいた。
2代目スカイラインのようだ。

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廃車は内部にもある。
フォルクスワーゲンと、ルーフがへしゃげた緑色の車、それにトラックが残存していた。

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この廃車があった建物はどことなく発電所の廃墟に似ている。

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周辺には同時に廃墟となった小屋・家屋が幾つもあった。社員が住んでいたというよりは、単なる個人宅のように見える。

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そして桜並木と舗装路の側にある個所。ここもまた凄い。
真新しい桜花と旧い廃墟が、丁度磁石のN極とS極が引き合うように共存していた。

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最後に、桜並木の側にある内部の部分。
柔らかな春の陽光が舞い込み、どこか神秘的ですらある。

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殆ど写真を貼るだけになったけれど、これでも抑えた方だ。
今回僕がここに載せたものはほんの一部に過ぎない。
長閑な興津川と桜の側に静かに眠る製紙工場跡は、今もなお、否、風化してなお存在感を保っている。

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